バンキング・アズ・ア・サービス(BaaS)は、東南アジアの金融サービスに革新を巻き起こし、消費者と企業に想像を超えるメリットをもたらす可能性を秘めています。
経営コンサルティング会社Oliver Wymanによると、金融機関はBaaS技術を活用することで、顧客獲得にかかる平均コストを現状の100~200ドルから5~35ドルにまで削減できる可能性があるということです。一方で、金融ソフトウエア企業Finastraが上級管理職を対象に行なった調査では、85%近い回答者がBaaSソリューションをすでに導入済みか、今後1年から1年半以内に導入予定であることが明らかになりました。
BaaSを活用することで、以下のようなメリットを享受することができます。
BaaSを導入して自社製品に金融サービスを組み込み、自社の金融商品として顧客に提供することが可能になります。
銀行以外の企業がBaaSを利用することで、自社開発に多大なコストを投じることなく、加盟店の獲得やカードの発行、決済手続きなどのサービスを提供することができます。
BaaSが規制への対応を行うため、導入企業は顧客との関係構築に注力することで、新たな収益源を創出することができます。
Finastraの調査報告では、今後数年間におけるBaaSの成長分野として、加盟店や消費者向けのPOSファイナンス、中小企業向けの組み込み型融資、トレジャリーサービスや外国為替サービスなどを挙げています。新しい顧客層の開拓や新市場への拡大を目指す企業は、いずれもBaaSのメリットを享受することができるでしょう。
銀行や金融機関: 金融機関は、BaaS製品を利用して顧客に新たなサービスを提供し、新たな収益源を生み出すことができます。加えて、旧式のインフラを近代化してデジタル化を加速することができます。
ソフトウェアベンダー: ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)企業は、自社のソフトウェアに金融サービスを組み込んで競合他社よりも優れた体験を提供することで、顧客の離脱を抑えることができます。
フィンテックのスタートアップ企業: 自社で銀行免許やその他のライセンスを取得せずに、新しい市場で銀行業務や決済、トレジャリーサービスに必要なインフラを提供することができます。
マーケットプレイスやプラットフォーム: B2BやB2Cのマーケットプレイスやプラットフォームに金融サービスを迅速に組み込み、顧客に融資や保険、後払い決済を提供することができます。
フィンテック・コンサルティング会社11:FSは、BaaSは企業と消費者の双方に数多くのメリットをもたらすことができると報告しています。例えば、BaaS導入企業は、お客様が必要とするサービスを必要とされる時に提供することができます。
欧米やアジアでは、多くの大手企業がBaaS製品を採用し、既存の基幹製品を超えた領域で優れた顧客体験を提供しています。以下が具体的な事例です。
インドの「ICICI銀行」は、WhatsApp内に銀行サービスを組み込んだところ、3か月で100万人の顧客を獲得することができました。
日本初のデジタルバンクである「みんなの銀行」は、アクセンチュアとのパートナーシップにより迅速に事業を立ち上げ、金融および非金融データを統合したサービスを提供しています。
東南アジアでスーパーアプリとして展開する「Grab」は、金融サービス事業拡大のためかねてよりBaaSを活用してきましたが、昨年、シンガポールの大手通信事業者である「Singtel」と共同でデジタルバンクのベンチャー企業を立ち上げました。
今こそ、より多くのアジア企業が同様のメリットを享受する絶好のタイミングであるといえます。
Opnは、ソフトウェア企業やマーケットプレイスがコンプライアンス対応や開発にかかる負担やコストを最小限に抑えつつ、シームレスな顧客体験を実現することができるBaaSソリューションの提供を掲げています。
また、銀行、フィンテック・スタートアップ、独立系ソフトウェアベンダーにおける決済、カード発行、融資関連のソリューションの組み込みを支援することで、顧客の迅速なサービスの市場投入と短期間での新たな収益源の創出を目指しています。しかしながら、銀行やソフトウェア企業は、必ずしもBaaSのアクワイアリング、イシュイング、融資の全ての機能を組み込む必要はありません。
例えば、ノンバンク系の金融機関が組み込みを必要とするのは、「アンダーライティング(査定)・アズ・ア・サービス(underwriting-as-a-service)」かもしれません。一方で、グローバルなマーケットプレイス・プラットフォームにとって必要なのは、様々な地域で新規加盟店を即座に取り込んでコンプライアンスを遵守しつつ取引収益の拡大を実現するための「コンプライアンス・アズ・ア・サービス(compliance-as-a-service)」のモジュール群かもしれません。加えて、運転資金融資サービスが最も有用で高い収益性を誇る国でマーケットプレイスが必要とするのは、「レンディング(融資)・アズ・ア・サービス(lending-as-a-service)」機能かもしれません。Opnではこうしたニーズを理解しており、顧客は柔軟に必要なサービスのみを選択し、導入することが可能です。
BaaSは特に東南アジアではつい最近まで、まだ初期段階にあるとみなされていたかもしれませんが、経営幹部、開発者、コンサルタントにとって、ビジネス課題を解決するソリューションとしてBaaSを検討する価値はあります。下記の課題が当てはまるかどうか考えてみてください。
コスト削減と成長促進のための革新的なソリューションを探している。
顧客がサービスを必要とする時にパーソナライズされた体験を提供するために、さらなるデジタルトランスフォーメーションを推進したい。
コンプライアンスを遵守しながら、大量のトランザクションや複雑なワークフローに備える必要がある。
顧客の獲得、維持、アップセルを自動化することで、コストと単純作業を削減して業務効率化を図りたい。
上記の課題が一つでも当てはまる場合、BaaSソリューションが課題解決に役立つかもしれません。
Opnは10年にわたりフィンテック事業に従事し、新たな決済機能を開発・提供して加盟店を拡大するとともに、加盟店が必要とする金融サービスを提供してきました。加えて、東南アジアの各市場におけるルールや規制に関する深い知見を備えています。