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Payments · 2024年6月30日

“決済の未来を設計する”、 Opnエンジニアリング担当副社長インタビュー

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急速に進化する金融テクノロジーの世界では、トレンドを先取りし、新たな課題に適応することが極めて重要です。このインタビューでは、Opnのエンジニアリング担当副社長であるAmborish Acharyaが、グローバル決済のトレンドについて、その豊富な経験と洞察を語ります。

フィンテックに関するAmborish Acharyaのキャリアは、バンガロールを拠点とする新興企業において2005年に始まりました。そこでは、高度な統計・数学モデルを用いた金融リスク管理を専門としていました。以降20年以上にわたり、オンラインバンキング、NFC、モバイルバンキング、組込型金融、アクワイアリング、イシュイング、レンディングなど、決済分野のさまざまな分野に携わってきました。Opnでは、PayFac-as-a-ServiceAcquiring-as-a-ServiceIssuing-as-a-Service、コア決済インフラの拡張性強化など、重要なプロジェクトやイニシアティブの推進に尽力してきました。

ここでは、現在の決済技術のトレンドと、エンジニアリングチームがどのようにして時代の最先端を走り続けているのかについて質問したインタビューを紹介します。

決済テクノロジーの最新動向を探る

インタビュアー:決済テクノロジーの将来に影響する主な国際的なトレンドにはどのようなものがありますか?

Amborish: 技術の進歩、消費行動の変化、規制の整備によって、いくつかの重要なトレンドがあります。今後のトレンドは以下の通りです。

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  • デジタル決済と非接触決済: Google Pay、Apple Pay、TrueMoney Walletなどのモバイルウォレットが注目を集めています。QRコードを利用した決済システムは、その手ごろさと使いやすさから、新興市場では特に人気があります。例えば、タイにおけるPromptPayの利用は大幅に伸びており、タイ銀行のデータによると、2020年から2023年にかけて取引量は179.67%増加しているそうです。

  • 暗号通貨: ビットコインとイーサリアムは、大手企業や決済プロバイダーの間で受け入れられつつあります。中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、従来の銀行システムや決済システムに革命をもたらす可能性があります。

  • 生体認証: 指紋認証、顔認証、手のひらスキャンなどの方法が普及しており、取引のセキュリティが強化されています。Amazonは最近、米国の顧客向けに手のひらスキャン決済技術の提供を開始しましたが、これはキャッシュレス決済をさらに進化させるかもしれません。

  • AIと機械学習: こうしたテクノロジーは、不正取引をリアルタイムで検知・防止するためにますます活用されるようになっています。また、AIを活用したインサイトにより、パーソナライズされた金融サービスやターゲットを絞ったマーケティングが可能になり、顧客エンゲージメントが向上します。

  • IoT決済: スマート家電、ウェアラブルデバイス、その他のコネクテッドガジェットから、簡単かつ自動で決済できるようになります。インテロスペクティブ・マーケット・リサーチ(Introspective Market Research)によると、世界のIoT決済市場は2022年の2,580億米ドルから2030年には14兆8,860億米ドルに成長すると予測されています。

オープンバンキング、越境決済、組込型決済など、その他のトレンドも要注目です。

インタビュアー:モジュール技術はさまざまな産業で注目を集めています。決済分野におけるモジュール技術の定義について教えてください。

Amborish: 決済分野におけるモジュール技術とは、決済システム内で特定の機能を果たす、交換可能で独立したコンポーネントやモジュールを使用することです。このアプローチにより、柔軟で適応性が高く、効率的な決済ソリューションが可能になります。モノリシックからマイクロサービスアーキテクチャへの移行はその典型的な例で、各サービスは独立しており、特定のビジネスニーズに対応しています。モジュール式の決済システムは、特定のニーズに合わせて、まるでレゴブロックを組み立てるように、取引量の増加やビジネス要件の変化に対応して拡張することができます。

インタビュアー:モジュール技術が最近のOpnのプロダクトにどのように反映されたか、例を挙げていただけますか?

Amborish: ここ数年、Opnはモジュール化へと戦略的にシフトしており、プロダクトを迅速かつ効率的に提供する能力が大幅に向上しています。アダプターパターンを採用することで、エンジニアリングチームは新しい金融機関と簡単に連携し、特定の要件に合わせてバックエンドサービスをカスタマイズすることができます。このモジュールアプローチは、PayFac-as-a-Serviceのサブマーチャント向けダイナミック・オンボーディング・プロセスにも適用され、迅速かつ柔軟な統合を可能にしています。

ビジネスの観点から見ると、モジュール技術にはいくつかの利点があります。

  • 市場投入までのスピード: レゴブロックのようなモジュールコンポーネントは、より迅速な製品開発と展開を可能にします。

  • コスト効率: エンジニアリング能力とメンテナンスコストの削減により、より効率的なリソース配分が可能になります。

  • メンテナンスの簡素化: モジュールを分離することで、問題の特定と解決が容易になり、システム全体の信頼性が向上します。

技術革新を先取りする戦略

インタビュアー:技術の進歩や業界のトレンドに対応するために、どのような戦略をとっていますか?

Amborish:エンジニアリングチームが、技術の進歩や業界のトレンドを常に先取りできるよう、いくつかの戦略を採用しています。具体的には、継続的な学習、積極的な適応、革新的な企業文化の育成に重点を置いています。スクラムチームには社内トレーニングがあり、QAチームはチームメンバーと定期的なワークショップを行い、インフラチームはAWSのラーニングチームとトレーニングセッションを開催するなど、さまざまな取り組みを行っています。最新の取り組みとしては、ドメイン駆動設計やBedrockのような高度なAIツールがあります。従業員には、AWSソリューションアーキテクトなどの業界で認められた認定資格の取得が奨励されています。さらに、チームメンバーは頻繁にカンファレンスやセミナーに出席し、新しい技術やトレンドの最新情報を入手しています。

インタビュアー:プロダクト開発の革新性と効率性を高めるために、Opnのエンジニアリングチームはどのようなベストプラクティスに従っていますか?

Amborish:プロダクト開発におけるイノベーションと効率性を促進するには、適切な方法論の採用、支援的な企業文化の促進、ツールやテクノロジーの効果的な活用など、多面的なアプローチが必要です。実践には、反復開発のためのスクラムや継続的なワークフロー管理のためのカンバンのようなフレームワークが含まれます。アイデアを素早く検証し、プロセスの早い段階でユーザーからのフィードバックを集めるために、MVPを開発することに重点を置いています。さらに、TerraformのようなIaCツールを使用することで、インフラの自動化と管理を支援し、一貫性と拡張性を確保しています。

インタビュアー:現在、エンジニアリングチームが取り組んでいるプロジェクトやイノベーションについて、何かお聞かせください。

Amborish:エンジニアリングチームは現在、近々提供開始予定のPayment Gateway as a Service、自動化されたルールベースのアンダーライティング、ステートメントフローのデカップリングなどのプロジェクトに注力しています。エンジニアリング・プラットフォーム・チームでは、システムのスケーラビリティを強化し、導入後のインシデントを最小限に抑えるために、レガシー設計を再構築しています。さらに、生産性を向上させるため、Co-PilotのようなAI主導のツールによる概念実証(POC)イニシアチブを模索しています。

デジタル決済の未来をデザインする

インタビュアー:決済会社のエンジニアリング担当副社長として、何か付け加えたいことはありますか?他の業界と比べて、この分野のユニークな点は何だと思われますか?

Amborish:決済業界での経験からお伝えしたいのは、その複雑さです。私たちは、クレジットカード情報のような機密性の高い顧客データを扱い、時にはお客様の感情までも考慮に入れなければなりません。お客様の消費傾向と、現金を含むさまざまな支払い方法を理解することは非常に重要です。デジタル決済を取り入れてもらえるようお客様の行動を変革することは、これからの10年間、私たちにとって重要な課題です。企業としての私たちの主な戦略とビジョンの中心は、デジタル経済への貢献です。

エンジニアリング担当副社長として、この変革に重要な役割を果たしていけると確信しています。私たちが開発するすべてのプロダクトは、ユーザーの現金からキャッシュレス決済への移行を促進することを目的としています。素晴らしい歩みを進めてきたと思います。これまで、私たちは人々の日常生活に大きな影響を与えてきました。新しいテクノロジーがたくさん出てきていますが、Opnでもそうしたテクノロジーに対応していきたいと思っています。これから数年、そして数か月の間に、変化を起こし続けると確信しています。


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