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Payments · 2023年7月19日

ネットワークトークン化の導入メリット、始めるべき備えとは

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Data Security

Network Tokenization

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デジタル時代のEコマース利用者は、ネットショッピングのリスクを充分に認識している一方で、満足度の高いショッピング体験を期待しています。ワンクリック決済や定期課金はもはや差別化要素ではなく、今では標準的な機能となっています。

こうした機能が搭載された手間のかからない決済プロセスは、トークン化(トークナイゼーション)なしには実現できません。トークン化技術により、お客様のカード情報は安全に保存され、数回のクリックでオンライン購入を完了させることができます。Eコマース競争が激化する中で、ネットショップにとっては、消費者が望むシームレスで安全な決済体験を実現するトークン化技術が、お客様に選んでもらえるかどうかの決め手となります。

近い将来にカードネットワークが導入するネットワークトークン化は、決済処理をさらに進化させ、決済エコシステムの新たな標準となります。

シームレスな決済が不正を防止

ネットワークトークン化とは具体的にはどのようなものでしょうか。また、なぜEコマースのエコシステムにとって極めて重要な革新的技術であると言えるのでしょうか。

まず、トークン化の仕組みを理解する必要があります。トークン化は、決済事業者が活用するセキュリティ技術で、カード情報をトークン(別の文字列)に置き換えます。このトークンは、決済プロセス全体を通じて承認に使用されます。

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このトークンによって、お客様はカード情報を安全に保存することができ、定期課金にもスムーズに使用することが可能となります。また、トークン化により、加盟店は機密データを扱う必要がないため、機密データの漏えいを防止することができます。

ネットワークトークン化が実現するシームレスな未来型決済

ネットワークトークン化は、トークン化の利点を最大限に活用するソリューションとして考案されましたが、決済プロセスを大きく変えるものではありません。個々のカードに対してトークンが発行され、承認フロー全体で使用されます。変わるのは、トークンが作成される場所です。

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ネットワークトークン化では、カードネットワークがトークンを生成し、1枚のカードにつき1つのトークンを発行します。このトークンは複数のプラットフォームで使用することが可能です。結果として決済の承認プロセスが効率化され、より迅速かつより安全に決済処理を行うことができます。

ネットワークトークン化のメリット

トークンが作成される場所の違いが、カードデータのセキュリティ、および決済体験の向上に大きく貢献します。

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1. よりシームレスな決済体験の実現

トークンがカードネットワークによって作成されると、生成されたトークン、またリンクされたカードの記録が全てカードネットワークにより管理されるようになります。そのため、紛失によりカードが交換された場合、あるいは期限切れによりカードが更新された場合は、ネットワークが自動的にトークンを検出し、新しいカードへと更新します。

お客様が古いカード情報を削除して新しいカード情報を入力する必要がなくなるため、決済が中断される可能性を最小限に抑えることで、決済体験を最適化することができます。

2. 承認率と購買率の向上

サードパーティの決済業者とは異なり、カードネットワークはすでに国内外の銀行から高い信頼を得ています。ネットワークで生成されたトークンが不正行為の被害にあうのではないかと、過度に心配する必要はありません。

また、多国間の銀行同士の連携がスムーズではないような国際取引を含めた取引の迅速な承認が可能となります。国内取引では承認スピードが大幅に改善し、国際取引では決済非承認率が低下します。

さらに、決済プロセスの短縮により、コンバージョン率を大幅に向上させることができます。

3. セキュリティ強化

カードとトークンのデータベースが一箇所に集約されるため、カード情報への不正アクセスのリスクが大幅に減少します。カードネットワークは、すべてのプラットフォームにおいて、カードがどこで保存され、使用されたかを追跡できるようになりました。

この新技術によって、近い将来、カード発行会社が新たなサービスを提供することが期待されます。カード会員は、包括的なカード管理ポータルサイトでサービスへの加入や解約を直接行えるようになるほか、不審な行為を早期に発見できるようになります。

今から始めるべき備え

ネットワークトークン化への移行は、大規模な取り組みであることから、導入が完了するまでにかなり時間がかかることが予想されます。しかし、将来的には世界各地で導入され、すべてのEC運営会社に対応が求められるようになるため、早め早めに対策を取る必要があります。

この変化に迅速に対応するために、企業が講じるべき対策は主に2つあります。

1. カードデータのPCI環境への移行(PCI非対応加盟店向け)

カードデータを自社で保存すると、不正アクセスの標的になりやすくなります。使用しているプラットフォームがまだPCIに準拠していない場合は、自社の顧客データベースをPCI環境に移行し、ネットワークトークンに変換することをお勧めします。承認プロセスの迅速化にも役立つでしょう。

しかし、大量のデータを移行するのは手間のかかる作業であり、社内のリソースで対応しきれないおそれがあります。Opnはカード情報の移行サービスを提供していますので、お気軽にご相談ください。専門家がお客様のニーズに最適なソリューションをご提案します。

2. システムトークンをネットワークトークンに変換する(銀行および決済サービス業者向け)

ネットワークトークン化が新たな標準になれば、カードネットワークはネットワークトークン以外のトークンに対してはペナルティを課す恐れがあり、結果として業務に支障をきたし、コストが増加する可能性があります。

決済サービスのトークンをネットワークトークンに変換すると、PCIコンプライアンスがカードスキームの標準と同等になります。また、プラットフォームに前述のネットワークトークンの独自の機能を自動的に組み込むことができるため、お客様のユーザー体験を向上させることができます。

しかし、この統合を実現するには、カードネットワークによって承認された互換性のあるソリューションを構築する必要があります。この手続きには時間がかかり、お客様の業務に支障をきたす恐れがあります。コストと労力を最小限に抑えるため、トークン処理サービスの利用をお勧めします。




ネットワークトークン化はEC運営会社だけでなく、決済エコシステムに関わるすべての企業に影響を及ぼすため、今が適切な対応策の検討を始める好機であると言えます。

ネットワークトークン化に関するお問合せは、下記より気軽にお寄せください。


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